おいしい野菜スープの作り方、基本からアレンジまで
思い出の料理というのはいくつかあるが、母親がよく作ってくれた「野菜スープ」もそのひとつ。
クリスマスや誕生日などお祝いの時に肉料理とともに食べていたためか、たかだか野菜スープではあるがご馳走の類として記憶に刻まれている。
これは野菜スープをクスクスにかけたもの。豆や雑穀などいろいろ入れるのが好み。
余談ではあるが、母親は手間暇かけて料理を作る人で、例えばビーフシチューなどは3日かけて作っていた。そうやって作られた料理はどれも美味しかった。子供ながらにそんな料理を食べて育ってきたものだから、私の料理との向き合いも母親から受けた影響も大きい。手間をかけるのが好きなのだ。
そんな思い出の深い野菜スープだが、親元を離れ料理をするようになると(間に10年ほど空白があるが)、あの美味いスープを自ら作れるようになりたいと思うわけで、度々作っては研究を続けてきた。
繰り返し作る中で野菜スープそのものが面白くなってきて、自分なりの味を追求するようになってきた。最近ようやく自分なりのレシピが出来てきたので紹介したい。
野菜スープ、基本のベーススープ
野菜スープの基本となるものをベーススープと命名し、まずはその作り方を紹介する。
野菜スープには様々な食材を入れるが、ベーススープは必要不可欠な食材のみのシンプルなレシピにしている。野菜スープに相性の良い食材、ベーススープからのアレンジ例、野菜だしのとり方について後述する。
材料
- セロリ・・・1本
- にんじん・・・1本
- 玉ねぎ・・・1個
- ローリエ・・・1枚
- ベーコン・・・1枚
- 白ワイン・・・50ml
- 水・・・3カップ
- 塩・・・適量
- オリーブオイル
作り方
1.セロリ、にんじん、玉ねぎは5mm程度の少し大きめな粗みじん切りする。ベーコンは1cm幅にきる。
2.厚手の鍋にオリーブオイル大さじ1を入れて火にかける。セロリ、にんじん、玉ねぎ、ローリエをいれて弱火で10分ほどじっくりと炒め、野菜とローリエを取り出す。
3.2の鍋にオリーブオイル大さじ1を足し、ベーコンを入れて弱火で焼き目がつく程度炒める。
4.鍋に野菜を戻しなじませから、白ワインを入れ強火にしてアルコールを飛ばす。
5.水を入れて沸騰したら灰汁を軽く取り、蓋をして弱火で15分煮込み、最後に塩で味を整える。
コツ・ポイント
じっくり、しっかりと炒めて野菜からうま味や甘みが引き出していく。これをしっかりやるとコンソメがなくても味に深みが出る。それでも物足りない等の感じる場合はコンソメを少し足す、あくまで補強する程度にする。
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以上がベーススープの作り方。ベースというだけシンプルな味付けのため、以降は追加する食材やアレンジについて説明していく。
野菜スープに相性のよい食材
様々な食材を入れることで深みのあるおいしい野菜スープが出来上がる。これらの食材はベーススープを作る工程で一緒に調理していく。
野菜は最初に一緒に炒め、肉は野菜の後、その他については煮込む際に入れている。
野菜類
基本的に香味野菜との相性が良い。ピーマンやパプリカ。夏場はズッキーニも良い。ブロッコリーは茎を入れるのが良い。
きのこ類も相性が良い。マッシュルームやしめじ、椎茸など。
トマトはもちろん合うが入れるとスープの性格がガラッと変わるため慎重になるべきだ。
野菜類は全て5mm程度の粗みじん切りにしている。そうすることで食べた時の食感が揃う。
肉類
野菜類に含まれるうま味成分グルタミン酸と、肉類に含まれるうま味成分イノシン酸を合わせるとうま味の相乗効果が現れるため肉類はぜひ入れたい。
ベーコンがない時はソーセージで代用できる。 鶏もも肉を入れるときは塩胡椒をしてしっかり焼き目がつくくらい炒めるとコクが出てよい。鶏皮もうま味が出るが多少油っぽくもなるため湯通ししたりパリッと焼いてから入れても良い。
肉類は具の中で主役となるためお好みの大きさで入れる。
その他
豆類も相性は良い。ひよこ豆、赤豆、ミックスタイプでも。16穀米や押し麦など雑穀を入れれば、スープがメイン料理に早変わりする。
もちろんパスタも合う。母親の作るスープには小さなアルファベットの形をしたパスタが入っていて、それだけで楽しい気持ちになったものだ。
魚介はあまり入れたことがないが白身魚が相性良いだろう。魚介を入れる場合、肉類は省いても良い。
色々試してみるのも料理の楽しみの1つであるから、自分が入れたいものを入れれば良い。これはという食材が見つかったらぜひ教えてほしい。
自由自在にアレンジして楽しむ
ベーススープはシンプルだからこそアレンジの幅が広い。
私がよくやるのはベーススープを多めに作り、1日目は塩胡椒で味を整えオーソドックスな野菜スープとして楽しみ、2日目はホールトマト缶を入れてミネストローネにアレンジする方法だ。味が大きく変わるため飽きがこない。
ホールトマト缶ではなくカレー粉やクミンなどのスパイスを入れれば一気にエキゾチックなスープになる。
1日目にミネストローネにして2日目には、ひき肉・赤ワインを加えて更に煮込み、汁気を飛ばして、ミートソースにしてしまう手もある。
生米を炒めてベーススープを加え、20分程度煮こみ、削ったパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷり加えれば立派なリゾットも出来上がる。
アレンジはスープだけとは限らない。他にも良いアレンジがあればぜひ教えてほしい。
野菜でだしをとる
ベーススープに入れるのは水でも良いが、野菜から取っただし汁であればなお味に深みが出る。
野菜を茹でた汁を使えば良いのだ。
我が家には1歳の子供がいるため離乳食で野菜をよく茹でるが、その時の茹で汁をとっておき、野菜スープに使っている。多いときは5種類くらいの野菜を茹でるため野菜のうま味が十分に出ている。
ブロッコリーの茎で野菜だしをとる
実は色々な野菜を茹でなくとも、ブロッコリーの茎を茹でるだけでも良いだしがとれる。ブロッコリーは昆布のうま味成分と同じグルタミン酸が多く含まれている。
茎の硬い皮の部分を包丁で切り落とし、皮を茹でる。10分程度茹でた汁を飲んでみて欲しい。しっかりとうま味を感じるはずだ。
皮を向いた中身は柔らかいので、粗みじん切りにしてスープに入れてしまう。もちろんここからもうま味が出る。
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野菜スープでここまで長くなると思わなかったが、これが現時点で私の野菜スープの全てである。参考にしていただけると嬉しい。